佐埜明コラム

「メッセージ」


終戦時の混乱と女性(佐埜 たまみ・2021年2月15日)

 

1945年、終戦の頃、男性は戦死などにより女性に比べて人数が異常に少なくなった。
15歳~49歳の女性は、結婚対象となる男性より6,470,000人も多かったそうだ。
ここで問題なのは、戦前の女性は良妻賢母で、たくさん子供を生むべきで、社会に出て働くことは禁じられてきた。

結婚相手がいないと女性は生きていけなかった。

大量の戦争未亡人も同じであった。

長男が戦死すると、その妻が次男の妻になった。

人間性は無視された。

ついには、占領軍の兵士たちにセックスを提供し、金をかせぐ女性たちが急増した。
1945年8月18日、敗戦日からわずか3日後。

政府は都道府県警察の長に対して「進駐軍慰安施設について」と題する指令を発した。

これを聞いた売春業者は色めきたった。

政府はこの事業に必要な金の援助は惜しまないというのである。

「新日本女性に告ぐ。ダンサーおよび女事務員募集。年令十八才以上二十五才まで。宿舎、被服、食料全部支給ー」。

銀座通りに、このように記載された大看板がかかげられた。

朝早くから応募者1,500人の行列ができた。

受付から新日本女性とは慰安婦であることを聞かされて、顔をこわばらせるものも多かったが、係員の説得にうなずいて控室へ消えていった。

応募者のうち半数状以上が処女であったともいう。

餓死者が多くでたこの頃、愛する家族のために自分を犠牲にする女性たちの生き方を私はよく理解できる。
聖戦の名のもとに、なんという残酷なことをやってのけたのか。

許しがたい犯罪であると思う。


戦時体験とコロナ禍体験(2021年1月30日)

 

軍部は盛んに軍国標語を国民に押しつけました。

なんといっても、その代表的なものは「一億一心」「進め一億、火の玉だ」というキャッチフレーズ。
そして「ぜいたくは敵だ」などというのもありました。

翌日になると、早くも電柱にはられたポスターの<敵>の上に<素>の字が入れられ、「ぜいたくは素敵」になりました。
空襲をのがれるため地方に疎開すると、「疎開っ子」といっていじめられました。

何が「一億一心」だ、と思いました。
さて、いまはコロナ。

「三密」だと言っていたら、今度は「GO TO トラベル」で、途端に感染者は爆発的に増加しました。

中小零細の個人営業者は「時短」だの「営業時間の制限」だの罰則をちらつかせたり、肝心の救助はいいかげんの極。
戦時中もコロナの現在も、政府は口先と命令だけ。

みなさん、それこそ一億一心、まともな国づくりをしましょう。