『それでも、恋をしてよかった 亡き人と語り合う愛の記憶』
猪熊 裕子著 猪熊 昇絵
2023年4月発行 148×185 198ページ 909円+税
・恋を忘れてしまった方へ
・深い恋を知らない方へ
・大事な人を亡くしてしまったあなたへ
(内容紹介)
私たちは、恋をさけて通れない。
それは、なぜだろうか。
人が人を好きになる。
それは、自然なこと。
恋は若者の特権?
30代は? 40代は? 50代は? 60代は? 70代は?
年齢を重ねてきたからこそ、深まる恋があることをご存じでしょうか。
本書は、忍ぶ恋ではじまり、家庭を持たなかった規格外の恋。
伴侶の死による、孤独と後悔の苦しみ。
それでも、恋をしてよかった。
もう一度、亡き人と語り合いたくて綴り続けた、愛の記憶エッセイ集です。
読後には、酸いも甘いも恋の体験を振り返り、それも人生の一部だと悟ることでしょう。
『モロッコ美食』
弥生著
2023年3月発行 210×210 196ページ 4,000円+税
・モロッコ関連本の傑作
(内容紹介)
本書の特徴は、徹底した著者のジャーナリズムです。
『モロッコ美食』というタイトルですが、モロッコ人のライフスタイル、人柄、イスラム教、文化、風土、歴史に触れる社会科学書でもあります。
異国文化や新たな価値観に出会うことは、豊かな人生を送るヒントになります。
また、ラマダン(断食月)や犠牲祭をはじめ、多くの日常にフォーカスした、土着感あふれる写真は大いなる見所です。
読後は爽快感、満たされる知的好奇心、高まる高揚感に包まれることでしょう。
これらのモロッコ美食の魅力をどのように表現するか。
こだわりぬいた結果が、オールカラーの正方形の本に凝縮されています。
昨今、多くの旅番組が放送されています。
それらの多くは、表面的な紹介が中心でインパクト重視です。
奇抜さや非現実性、危険さ、物珍しさが目立ちます。
本書は、文化伝道師の著者が数多の渡航と現地生活の日々の洞察を綴ったものです。
言うなれば、わかりやすい刺激よりも、心が満たされるような、1つの考え方が記されています。
具体的には、元来の多様性やSDGs、エシカルについて考えさせられます。
普段の生活で腑に落ちないこと、閉塞感、疑問や不満がある人には特にうってつけです。
『黙殺される国際協調の理念 渋沢栄一・晩年の光芒』
小林 敏男著
2022年10月発行 46判 310ページ 1,818円+税
・これまでの渋沢栄一像が激変する1冊
・知られざる渋沢翁の晩年に特化
・翁こそ、日本の良心の光
(内容紹介)
幕末期の行動、経済人としての功績、論語と算盤、残された名言集など、すでに語りつくされた感がある渋沢翁。では、なぜ今、翁の新刊なのか。
本書は、翁が経済界から一線を退いた後を追いかけたものである。
深谷市で生まれ育った著者が、1990年代からはじまった、翁の顕彰活動を経たことをきっかけに、残された文献の研究を開始する。
その後、新1万円札の肖像画として翁の掲載が決まり、大河ドラマや関係書籍で取り上げられる「資本主義の父」というイメージに違和感を覚えた。
なぜなら、翁の素晴らしさは、資本主義、社会全体の発展に貢献したことと同じくらい、いや、それ以上に晩年の行動にあると考えていたからである。
では、翁の晩年の行動とは、どのようなものなのか。
みなさんはご存じだろうか。翁は日本国際連盟の初代会長であったことを。
日本国際連盟とは、現在の国際連合の日本支部のことである。
残念ながら、日本は国際連盟を脱退して大東亜戦争に突入し、現在に至っている。
翁は1920年、80歳の時に日本国際連盟の会長に就任し、永眠する91歳までその活動を続けた。
偉大なる経済人としてはもちろんのこと、論語に裏打ちされた思想、数々の名演説から連想される人柄、実際の行動。
日本国際連盟の会長として、とにかく戦争だけは起こさない、「戦争を喜ぶと云ふことは人類の最も恥づべきことである」と述べ、激動の時代に命をかけて平和を追求した人物だったことがわかる。
なぜ、研究者やマスコミは翁の晩年をフィーチャーしないのか。
翁の晩年にこそ、閉塞した現代を打ち破るヒントが数多くある。
新1万円札が流通する前に、今一度、翁のメッセージを知ってほしい。
『天野勝美作品集 高鳴る鼓動』
天野 勝美著
2022年10月発行 B5判 72ページ 1,818円+税
88歳、横浜市鶴見区で描き続けた集大成
(内容紹介)
横浜の戦前、戦中を生き抜き抜いた著者。空襲で大切な人を亡くした。それでも絵と出会い、素晴らしい人々との出会いがあったからこそ、今日まで描き続けてきた。
戦後、横浜髙島屋や全国の百貨店からディスプレイ制作の依頼を受けて生計を立て、ピカソ会や二紀会に所属する。
同時にユザワヤで講師を務め、多くの人達に絵を描くこと、美術の素晴らしさを長年に渡り伝えている。
著者にとって絵は支えであり、夢であり、追いつけない永遠。すべての人へ感謝を込めた1冊。
『小説の主題を捉える』クライマックス法
木内 晴己 大野 美夕起 丸岡 春美著
2022年8月発行 A5判 270ページ 1,636円+税
『岳南朝日』 2022年9月7日掲載
小・中学生の皆さん、先生へ
(内容紹介)
クライマックス法とは、小説の主題はクライマックス(最高の山場)に存在するという考えを実証するためのツールです。
小中学生が読んでためになる短編小説、12編をこのクライマックス法を使用して読み進め、各作品の主題を明らかにしたものが本書の内容です。
活用例として、教科書に掲載している『故郷』『走れメロス』『少年の日の思い出』3篇があります。
さらに、読書指導には欠くことのできない「私の読書記録表」を付録としました。
本書を読めば、小説の主題をあなた自身で把握することが可能になります。
国語が苦手な児童、生徒、国語の先生、諸説愛好家、将来小説家を目指す方に読んでもらいたいと思います。
(掲載作品)
『ベロ出しチョンマ』斎藤隆介/『走れメロス』太宰治/『少年の日の思い出』ヘッセ
『トロッコ』芥川龍之介/『高瀬舟』森鴎外/『一塁手の生還』赤瀬川隼
『サーカスの馬』安岡章太郎/『大造爺さんと雁』椋鳩十/『タオル』重松清
『赤い蝋燭と人魚』小川未明/『一房の葡萄』有島武郎/『よだかの星』宮沢賢治
『雨ニモマケズ』宮沢賢治/『虫けら』大関松三郎